株式、投資信託、債券など。
昔、少し買った記憶はあるけれど、今どこで管理しているのか、内容まで覚えていない。
――そんな状態のまま、放置されている方も多いのではないでしょうか。
預貯金だけが“資産”ではない
「お金の整理=銀行口座の整理」と思われがちですが、
有価証券(株・投信・債券など)も立派な資産です。しかも、相続の場面では扱いが複雑で、家族を悩ませやすいものでもあります。
- 保有している証券がどこにあるのか
- 名義は誰なのか
- ログイン情報はどこにあるのか
- どう処分すればいいのか
これらが本人しか分からないままになっていると、
いざというとき、家族が非常に困ることになります。
ネット証券は特に見えづらい
近年はSBI証券や楽天証券など、紙の通帳がないネット証券が主流です。
便利な一方で、紙の記録が一切残っていないことも多く、ログインIDやパスワードが分からなければ、資産の有無すら確認できないという状況も珍しくありません。
有価証券を“見える化”するために、今できること
- 保有している証券口座をすべて書き出す
- 口座ごとに保有商品(株・投信・債券など)を記録する
- ログイン情報は、安全な場所にメモしておく
→ たとえば鍵付きの引き出しや、信頼できるパスワード管理アプリなど。
→ エンディングノートにはIDやパスワードは書かないように注意(見せる前提のノートなので、セキュリティに配慮を) - 運用方針や投資目的をメモしておく
→ 「長期保有目的」「配当重視」「売却予定だった」など、意図が分かれば家族も判断しやすくなります。 - 不要な口座は解約・整理を検討する
死後の手続きは、想像以上に大変です
有価証券を相続する際、証券会社に相続人の口座がない場合は、新たに口座を作るところから始めなければなりません。
さらに、保有していた株や投資信託を現金に換えるには、
- 書類の提出
- 本人確認・相続人確認
- 評価額の確定
- 売却手続き・税務処理
といった、煩雑なステップを家族が踏むことになります。
「証券を持っていたことは知っていたけど、手続きが難しすぎて放置した」
――そんなケースも実際にあるのです。
エンディングノートに書いておきたいこと
セキュリティ情報(ログインIDやパスワード)こそ書いてはいけませんが、
“家族の行動を助ける情報”は、ぜひエンディングノートに書いておきましょう。
たとえば:
- 証券会社名(口座がある証券会社)
- 口座の目的(例:長期運用中、売却予定だった)
- 「証券会社に相続人名義の口座が必要になる」こと
- 「どうして欲しいか(保有を続けて欲しい/売却して現金化してほしい)」など
こうした“手がかり”が残っているだけでも、家族の負担は大きく軽減されます。
おわりに:資産は「遺す」だけでなく「伝える」もの
有価証券は、見えにくい・分かりにくい・手続きが面倒という、
三重の“家族にとっての難しさ”を持った資産です。
でも、ほんの少し今のうちに情報を整理し、
“わかる形”で伝える準備をしておくだけで、未来は大きく変わります。
- 口座の一覧を作る
- ログイン情報は安全に管理する
- エンディングノートに手続きのヒントを書く
それだけで、家族の不安も、「自分が遺した資産」の意味も、ぐっと伝わるようになるはずです。
“資産を見える化する”ということは、未来の自分と家族を守ること。
今、少しずつはじめてみませんか?
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